ライブ配信チケットの購入と視聴には手軽なスマートフォンを使用する人が大半
ZAIKOユーザーの人口統計(図 1)を見てみると、ライブ配信を購入するデバイスでは、2 位の PC(16%)に圧倒的な差をつけて、スマートフォン(80%)が利用されている結果となりました。 ただし、視聴に使用するデバイスの割合ではスマートフォンが61%とトップではあり、視聴場所に拘束されることのないスマートフォンの利用が人気であるものの、PCが2位の31%を占めるなど、、購入と視聴で複数のデバイスを使い分けているユーザーがある一定数存在することがわかりました。
また、男女比では女性がやや上回っており、年齢では20代後半~30代前半が最もライブ配信を視聴しており、続いて30代後半~40代前半のユーザーが多い結果となりました。
ライブ配信のチケット購入に使用したデバイス:
1位 スマートフォン(80.9%)
2 位 PC(16.2%)
3 位 タブレット(2.9%)
ライブ配信の視聴に使用したデバイス:
1 位 スマートフォン(61.2%)
2 位 PC(31.8%)
3 位 タブレット(7.0%)
ZAIKO 上のライブ配信を視聴したユーザーの人口統計:
● 性別: 女性 56.5% 男性 43.6%
● 年齢: 1 位 26~34 歳(29.7%)
2 位 35~44 歳(24.8%)
3 位 18~25 歳(21.5%)
図 2: ウェブサイトへのトラフィック
■ 調査結果詳細:チケット購入導線
Twitterによる流入がダントツのTOPに
ZAIKOを訪れるユーザーの割合を調べたところ(図 2)、SNSからの流入の割合がダントツで多く見られる中で、Twitterを通じての流入が約40%と最も高く、アーティストから発信される鮮度の高い情報が、コアなファンであるユーザーの行動を大きく左右していることを示しており、これまでのプレイガイドによるメルマガでの集客ではなく、アーティストとファンの間で起こる直接的なコミュニケーションから生まれる、これまでと明らかに違ったユーザーの購買行動を読み取ることができます。
ウェブサイトへのトラフィック:
1 位 Twitter(39.93%)
2 位 メディア&公式サイト(27.96%)
3 位 Facebook(4.08%)
4 位 Instagram(2.87%)
図 3: チケット購入のタイミング
■ 調査結果詳細:配信チケット購入のタイミング
当日にチケットを購入する割合が30%、アーカイブのみは約5%
これまで行われてきていたリアルでのライブイベントにおいては、そのほとんどが前売り券という形でチケットが事前に購入されてきましたが、有料のライブ配信ではチケット数の上限がなくなったことで、チケットを事前に購入せずに、(図 3)のように当日に購入するユーザーの割合が多くなったことを示しています。
また、スマートフォンの普及でSNS利用者が大きく増えてきたことにより、ユーザーが得られる情報量が圧倒的に増え、莫大な量の情報の中から、本当に必要である、また体験したいと感じられるモノやコトに対して消費を行うといった、無意識下での情報整理を行うようになってきたことも、チケットの当日購入者の割合が増加した、理由の一つであると考えられます。
図 4: 視聴ジャンルの内訳
■ 調査結果詳細:ライブ配信視聴ジャンル
ロックのジャンルでアジア圏の女性からの支持が高い
ライブストリーミングイベントにおけるジャンル別の内訳を見てみると、海外での視聴者数ではアイドルのライブ配信が日本に次いで2位にアメリカ、3位に韓国、4位 にドイツなのに対し、ロックのジャンルにおいては2位に中国、3位にアメリカ、4~6位に香港、台湾、韓国などのアジア圏での視聴が多いという結果になりました。 男女比についてはアイドルの視聴者では68%が男性であるのに対し、ロックでは83%が女性という結果が出ており、ロックのジャンルではアジア圏の女性からの高い支持を得られているということが伺えます。
また、各アーティストカテゴリのユーザーの特徴(図 4)は以下となります。
・ アイドル:
・男性ユーザーによる視聴が68%を占めている。
・年齢は26歳~34歳の視聴が多い。
・ ロック:
・ユーザーの男女比は女性が83%と圧倒的に多い。
・年齢で見ると40代前半以下のユーザー視聴が約9割近く(88%)にのぼる。
・国外からの視聴ではアジア圏からの注目が高い。
図 5:チケット価格の割合
■ 調査結果詳細:チケット価格と購入時期
最も多いライブチケットの価格帯は 3,000円~4,000円、全体の35%に
ライブ配信のチケット価格帯に関する調査(図 5)では、3,000~4,000円のチケットが最も販売されていることが判明しました。 有料のライブ配信が始まった当初は1,000円~2,000円などリアルのライブ配信に比べて比較的安価なチケットが主流となっておりましたが、コロナウイルス問題の長期化により、メジャーなアーティストが有料でのライブ配信を開催する割合が高くなり、それに伴いライブ配信におけるチケット単価を押し上げていったことが背景として考えられます。 これらのチケット価格が2020年3月以降エンタメファンに定着しつつある有料ライブ配信の、導入価格帯であることが分かりました。
以上の調査から分かる通り、コロナ禍における急激な変化によって、消費者の購買行動や視聴体験は大きく変化しました。 リアルイベントが徐々に開催できる世の中に戻っていく中でも、イベントのアーカイブ機能や、アーティストとファンの双方向コミュニケーションを生み出す投げ銭・コメント機能、距離の制約なく世界中からライブに参加できるというデジタルならではの便利な機能に対する需要は、形を変えながら残り続けることが予想されます。そのため、今後はリアルライブとライブ配信という二つのオプションについて、視聴にかかる費用も含めてユーザー自らが選択することが可能になり、ライブ・エンタメ市場は、リアルとデジタルの掛け合わせによる収益の複線化によって、拡大成長を遂げていくと考えられます。