【プロに聞く】KADOKAWA の出版イベントに学ぶ、ファンとの新しいつながり

昨年、出版業界ではコロナ禍により、それまでリアルイベントとして開催していた著者の出版記念イベントも一時、中止せざるを得ない状況に陥りました。そのような状況を受け、株式会社KADOKAWAでは、昨年から出版記念イベントをオンラインに移行する取り組みを実施。現在では、リアルとオンラインの二軸で数多くの出版記念イベ


昨年、出版業界ではコロナ禍により、それまでリアルイベントとして開催していた著者の出版記念イベントも一時、中止せざるを得ない状況に陥りました。そのような状況を受け、株式会社KADOKAWAでは、昨年から出版記念イベントをオンラインに移行する取り組みを実施。現在では、リアルとオンラインの二軸で数多くの出版記念イベントを開催しています。

今回は、株式会社KADOKAWAの出版事業グループ コンテンツ・サービス部課長、小友美佳さんに出版イベントのライブ配信について、お話を伺いました。

オンラインでの著者の出版記念イベントに取り組んだきっかけ


ZAIKO編集部:
KADOKAWAさんがオンラインでの著者の出版記念イベントに取り組み始めた経緯を教えていただけますか?

小友:
コロナ禍で2020年3月に緊急事態宣言発令されたことで、その年の4月と5月に予定していた出版記念イベントを全部中止せざるを得なくなりました。ただ、そのような状況の中でも何かの形でイベントを開催する必要があると考えたのがオンラインイベントを始めるきっかけになりました。
しかしながら、それまでは完全にリアルイベント1本でやってきたこともあって、当時の我々にとって、「どうやってそのスキームから脱却するか」は大きな課題でした。その中で最初はInstagramの鍵アカウントやZoomを使うなどしながら、いろいろな形でオンラインイベントを開催していましたが、昨年7月にある著者から「1000人規模のオンラインイベントをやりたい」と相談を受けました。その著者には、30代~60代まで幅広い年齢層のファンがいるので、全世代の方にとってわかりやすく使えて、かつ、安全なプラットフォームを探していたところ、ZAIKOさんを見つけました。

ZAIKO編集部:
ちなみにZAIKOを見つけるに至ったのは、ネット検索でしょうか?

小友:
そうです。オンラインイベントを配信できるサービスをネット検索して、ひとつずつリストアップしていきました。その中で、いかにお客様が使いやすいかを重視しつつ、我々にとっても申し込み画面の作り方など操作があまり複雑でなく、その著者のブランディングを損なわないことを考慮しながら、配信サービスを探していました。
お客様にとっては、一括でお金を払って配信を見られるサービスが使いやすいだろうということで、ZAIKOさんを使わせていただくことになりました。

エンターテイメントがオンライン化したこと時代が加速

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ZAIKO編集部:
ZAIKOのどのような点に魅力を感じていらっしゃいますか?


小友:
リアルチケットと配信チケットが同時に販売できるところですね。リアルイベントの場合は、事前に我々の方で座席を振り分けて販売できるところも魅力的です。コロナ禍でのリアルイベントでは、感染対策として、お客様にも一定の間隔を空けて着席していただく必要がありますが、あらかじめ座席をこちら側で振り分けておくことができるシステムがあるとお客様にも安全にご来場していただけるので非常にありがたいですね。
また、何かトラブルが発生した時に他のサービスだとチャット上やお問い合わせフォームを使ってやりとりすることがほとんどなのですが、ZAIKOさんだと、すぐに担当スタッフの方に相談できます。そういったサポート体制が充実しているところにも本当に助けられています。

ZAIKO編集部:
これまでリアルで実現できていたお客様とのつながりをオンラインイベントへ移行する際にはどのような難しさがありましたか?

小友:
お客様自身も今までオンライン上で何かを体験することは、あまり多くはなかったと思いますし、オンラインイベントに慣れるまでにはかなり時間がかかったと思います。また、我々としてもそこに慣れてもらうために著者のブログでオンラインイベントについて丁寧に解説していただいたり、ZOOMでオンラインイベントのチケットの買い方についての説明会をやってみるなど、労力を費やしました。
ただ、ありがたいことにお客様側にそのコンテンツを見たいという気持ちが強く、世代関係なくそこを乗り越えてくださいました。その意味ではこういったエンターテイメントがオンライン化したことで時代が加速したように感じています。

https://kadokawa-ipccontents.zaiko.io/

オンライン化により動員数も7倍に増加

ZAIKO編集部:
オンラインイベントだとこれまでリアルイベントに参加できなかった地方や海外在住の方も参加できるというメリットもあります。KADOKAWAさんのイベントでもそういったお客様の数は増えましたか?

小友:
当社のイベントでもその部分は非常に大きかったですね。海外の方もそうですが、例えば、これまでは著者のファンであっても時間的な問題などを理由に会場に足を運ぶことができなかった子育て層のお客様からもイベントがオンライン化したことで参加できるようになったという声がたくさん届いています。
それとリアルイベントの場合は、会場の収容人数の問題があり、どうしても先着順や抽選であぶれてしまう方がおられます。ただ、オンラインの場合だとそういった問題はないので、コロナ禍以前と比べて、動員数は1イベントあたり平均して約7倍ほど増加しました。

ZAIKO編集部:
オンラインイベントでは、著者のサイン本やグッズといった様々な特典付きチケットも販売されています。ZAIKOではそういった通常のチケット以外のチケットも販売できますが、その部分に対するお客様の反応はいかがでしょうか?

小友:
これに関しては、著者がグッズとして作ってみたかったものを形にできたことで、お客様にも喜んでいただいています。
これまで著者のグッズを作る場合は、「モノ」として機能的である必要があると思っていたのですが、著者が「こんなものがあったらおもしろいな」と思うものを形にして、その楽しさを著者とファンの間で共有できたところは良かったなと思ってます。また、お客様にとっても、自分が購入したいチケットを選びやすい購入導線になっているので、買い間違えるようなこともなく、スムーズに購入していただけているようです。

出版イベントを通じてお客様と著者のより強固なつながりをつくる

ZAIKO編集部:
出版記念イベントというのは、出版社だけではなく著者や購入者にとっても大切な意味があるのですね。

小友:
出版業界では、毎月、本当にたくさんの本が出版されているので、リアル書店やネット書店に並ぶだけでは露出がどうしても埋もれてしまいがちです。そういった意味では、著者自身が1冊の本が生まれるまでのエピソードを編集者と一緒に語ったり、著書に書ききれなかったエピソードを話していただくなど、ご自身で著書の魅力について語っていただける機会を設けることは、出版社としても非常に大事なことだと思っています。
また、それがオンライン化によって、コロナ禍中でも中断されることなく、これまで以上に多くのお客様に届けられるようになったことについては非常にポジティブに捉えています。

ZAIKO編集部:
出版イベントを通して、著者とお客様にどのような繋がりがあればとお考えでしょうか?

小友:
我々の部署では、書籍を一次IP(知的財産)として、それを電子化するなど二次利用してお客様に届けることに取り組んでいます。そういった背景から出版記念イベントに関しては、出版された書籍をきっかけに著者を知った人が、よりその著者の魅力を知ることで熱量の高いファンになっていただけることを目的にした2次展開として開催しています。
出版記念イベントを通じて、お客様と著者にはそこでコミュニケーションをとっていただき、さらにその評判がSNSを通じて、他のファンにも伝わることでお客様と著者のより強固なつながりを築いていくことができると考えています。


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