オンラインイベント、気になってはいるけど何から始めればいいのだろう…? どのくらいお金がかかるの? どんな機材が必要なの? そもそもどこに頼めばいいの?
そんな疑問を抱いている人は意外に多いのではないでしょうか。分からないことはプロに聞け!
ということで、今回はZAIKOを利用して配信ライブを行なっているヴィジュアル系ロックバンド、摩天楼オペラの苑さん(Vo)、彩雨さん(Key)のお二人に話を聞きました!
配信で見てくれているファンとも深く繋がっている
ZAIKO編集部: まずは、摩天楼オペラさんの自己紹介をお願いします。
苑: 今年で結成14年になる4人組のヴィジュアル系バンドです。ヴィジュアル系の中でも僕らはクラシック・ヘヴィメタルの要素が強いのが特徴です。
ZAIKO編集部: ZAIKOを使っての配信ライブは、いつ頃から始められたのでしょうか?
彩雨: ZAIKOを使うようになったのは、去年の8月からですが、実はそれ以前にもニコニコ動画で生配信を何度かやったことがあります。しかし、その時はライブの全部を見せるのではなく、一部を無料で見せて、途中からニコニコ動画のプレミアム会員の人だけが見れるような感じでやっていました。当時、ライブハウスにはまだ、ライブ配信に対応できるくらいのインターネット回線が引かれていないなど難しい環境でしたが、多くのスタッフさんにサポートしてもらいながら配信をしていました。
ZAIKO編集部: これまで配信ライブを重ねてきた中で、どんな学びがありましたか?
苑: 地方や海外に住んでいるなどの理由で普段ライブに来ることができないファンの方々が、配信でライブを見られるようになったことなど思っていた以上に大きな反響がありました。
彩雨: 去年、1度だけZAIKOではない別のプラットフォームから配信したことがありました。でも、そこが海外に対応していなかったため、海外のファンは見ることができませんでした。そういったこともあって、海外のファンから「どうにかライブを見れるようにしてほしい」という要望があり、後日、ZAIKOを使ってオンデマンド配信をしました。その時に自分たちの配信ライブは、世界のファンにも必要とされているんだなということが改めてわかりました。
ZAIKO編集部: ZAIKOで配信ライブを始めてから1年が経ちましたが、配信ライブに対する考え方に変化はありましたか?
彩雨: 先ほどお話したとおり、配信ライブは以前から経験していましたし、DVDのライブ映像作品のために会場にカメラを入れることは何度もありました。ただ、その時はどちらかと言えば、目の前にいるファンが主人公だと考えていたこともあって、配信や映像作品でライブを見てもらえることはどちらかというとオマケ的な感じが強かったですね。
苑: しかし、去年の8月から12月までずっと無観客でやっていたこともあって、今は会場にいるお客さんだけでなく、配信で見てくれている方にも、ちゃんと僕らと深く繋がっていると感じるようになりました。
ZAIKO編集部: 無観客での配信ライブだと目の前にファンがいませんが、そのことはやっぱり配信ライブ中のMCなどにも影響を与えるのでしょうか?
苑: ファンが目の前にいないと現場では傍から見ると独り言になっているというか、MCでファンに問いかけることができないんですよね。だから、自分の中で文章を完結させないといけないし、最初は本当に難しかったです。ただ、回数を重ねるごとにそれにもだんだん慣れてきました。
ZAIKO編集部: コロナ禍の今はオンラインでの活動の比重が高くなっていると思いますが、そういった中でどのような取り組みを通してファンと交流されているのでしょうか?
彩雨: 今のような状況だと以前のようにCD販売時のサイン・握手会のような、直接的な交流はできないので、ファンクラブのイベントも配信でやっています。しかし、コロナ禍を機に会場にいないファンに対しても発信できることがわかったので、今後、ライブハウスにファンがフルキャパで入れるようになってからもこういったオンラインでの活動もリアルでの活動と並行して続けていくつもりです。
苑: コロナ以前に全国ツアーをしていた時に地方のライブに来てくれていた方やオンラインだからこそ参加できる方もいるので、そういう方々のためにも続けていければと思っています。
ZAIKO編集部: オンラインでのファン向けイベントとして、これまでにどのようなイベントを企画されてきたのでしょうか?
彩雨: 今年2月にシングルをリリースした時に、ファンクラブ限定のZOOMイベントをやりました。そのイベントは、僕らと大勢のファンが一緒になってオンラインで会話を楽しめるといった感じでしたね。それとCDを購入したファンに向けての生配信もやりました。
ライブ配信のための機材・予算などは?
ZAIKO編集部: ライブ配信のための機材のセットアップやカメラの数など、配信に向けてどのような準備が必要なのでしょうか?
彩雨: 現在は、会場に関しては配信ライブに対応した設備を持っているライブハウスを選び、配信周りに関しても基本的にライブハウスの方に担当してもらっています。僕らの場合は、これまでに配信ライブを行った経験もあるので、信頼できるライブハウスや配信スタッフさんにお任せするというスタイルで行っています。
苑: 配信用カメラの数は、基本的にはライブハウスに4台用意してもらっていることが多いですね。ライブハウス側のカメラの数が足りない場合などは、自分たちで持ち込むこともあります。とはいえ、最低限であれば、引きと寄りの映像さえ撮れたらいいので、カメラは2台あればなんとかなるかなという印象もあります。もちろん、カメラマンが撮影時にどれだけ動いてくれるか、どういう映像を配信したいかなでその辺りは変わってきます。
ZAIKO編集部: 摩天楼オペラさんの配信ライブでは天井から見下ろす形で撮影されるドラムの映像やドラマーの響さんのカメラ目線でのアクションなども印象的ですが、配信ライブを開始した当初からその映像にはこだわってこられたのでしょうか?
苑: 過去には、ドラマーを撮影するカメラがない時もありました。ただ、カメラ2台だとどうしてもドラマーが映しづらいんですよね。それだとバンドの世界観や魅力をファンに伝えられないということもあり、ドラム撮影用のカメラも設けるようになりました。
彩雨: 最近では、ドラマーの響も自分にカメラが付くことについて、「普段のライブでは絶対に見られない角度から見てもらえるので喜びを感じている」と言っています(笑)。
ZAIKO編集部: ちなみにライブハウスで配信ライブを1回行うためにはどれくらいの追加予算が必要になるのでしょうか?
苑: 例えば、一般的な配信ライブの場合だとライブハウスの配信オプション付きプラン分の料金を用意すればいいのですが、それもライブハウスの規模によりけりなので、ミニマムに抑えれば数万円〜という感じだと思います。あとはライブハウス側が配信ライブ用のスタッフを外注するかどうかでも結構変わってきます。
彩雨: 僕たちがやっているようなカメラ4台を使って、配信ライブに慣れたカメラマン、スイッチャー、PAさんを手配して、機材を持ち込んだりして行うとするとそれなりの予算がどうしても発生してしまいますね。
ライブハウスの臨場感を出すためにエアーマイクも使用
ZAIKO編集部: これまでに何度も配信ライブを行われていますが、もし、他のバンドから配信ライブをやりたいと相談されたらどんなアドバイスをしますか?
苑: 配信ライブのスタッフさんの中にはPAからのライン録音だけで完結させてしまう方もいるのですが、エアーマイクを立てないとライブハウスの臨場感は出せません。ですので、エアーマイクを用意したほうがいいということは伝えたいですね。
彩雨: 配信ライブの時にいつもお願いしているPAさんがいるんですけど、その方はわざわざ配信用のためだけにエアーマイクを立ててくれるんです。そこで拾った音と僕らの演奏の音をミキシングして配信してくれるのですが、やっぱりライブの臨場感を出す上で、それは絶対に必須だと思っています。
彩雨: あと、カメラアピールは、10回やって1回抜かれるぐらいだということも伝えておきたいかな。カメラに抜かれなくてもあきらめずに何度もやろうって(笑)。
ZAIKO編集部: 配信ライブでは、ライブ中のアクションも通常のライブと異なるのでしょうか?
苑: 通常のライブだと多少演奏が粗くなったとしても、ライブならではの感じがカッコ良かったり、お客さんが盛り上がったりすることもあります。しかし、配信ライブだとその良さがなかなか伝わりにくいとも感じています。その分、以前よりも演奏をより良く聴かせることを意識するようになりました。だから、この1年間で僕の場合だとボーカルのピッチが凄く良くなってると思います。
彩雨: 配信ライブだとファンがアーカイブで繰り返し細かい所まで聴いてくれて、「今回のライブはあの部分がいつもと違っていてすごく良かったです!」みたいなコメントを後から頂くことがあります。本人が強く意識していない細かな演奏タッチなどまで聴いてもらえるは、嬉しいんですよね。
ZAIKO編集部: 配信ライブで演奏するセットリストと通常のライブのセットリストではどんな違いがあるのでしょうか?
苑: 僕らの楽曲には、ライブにおいてファンが声を出さないと成立しない曲があるんですよ。例えば、ファンがアカペラで合唱した後に僕がアカペラで1人で歌って、その後でバンドで演奏に入ったりする曲などですが、無観客だとそういう曲はできないんです。だから、もう1年以上も眠ったままになっている曲もありますね。
彩雨: 今年になってから有観客でもライブをしていますが、5月のライブは土壇場で無観客になりました。有観客として完成するセットリストを組んでいたので、その時はやはり焦りましたね。
ZAIKO編集部: 現在は、有観客と配信のハイブリッドでライブを行われているとのことですが、コロナ禍が収束した後でもハイブリッドでライブを行うことにはどのようなメリットがあると思いますか?
彩雨: ライブハウスの収容人数の関係だったり、地方や海外に住んでいたりという理由でリアルライブに参加できない方にもライブを見てもらえることが1番のメリットだと思います。
海外対応の強さや柔軟なチケット管理システムがZAIKOの魅力
ZAIKO編集部: 摩天楼オペラさんにとって、ZAIKOの魅力とは?
彩雨: チケットを海外通貨決済・販売できるなど海外対応に強いところですね。例えば、日本とは配信時間をズラして最初から海外のファン向けにイベントができたりするのは、ZAIKOの面白いところだと思っています。
苑: また、1年ほどZAIKOで配信ライブをやらせてもらっていますが、これまでに1度も大きな配信事故が起きていません。このことには非常に助けられています。
彩雨: それとライブの数が多いとファンもどこで自分の行きたい日程のチケットが買えるかのかがわかりにくく、戸惑う場合があります。その点、ZAIKOだと自分たちのプロフィールページを立ち上げて、各イベントの日程をまとめて表示することができます。アーティストしては、ファンを自分たちにプロフィールページに誘導することができます。チケットの管理のしやすさや購入のわかりやすさがある柔軟なチケット管理システムは、僕らにとってもファンにとっても魅力的ですね。
ZAIKOでの摩天楼オペラ・プロフィールページ
ZAIKO編集部: ZAIKOには音質にもこだわりがある人向けの高音質サービス「+HD Audio」がありますが、摩天楼オペラさんは配信ライブの音質についてはどうお考えですか?
苑: 配信ライブ、リアルライブに関わらず、ステージに立つ身としてはいつも細かいところまで気をつけてやっているので、配信ライブの音質自体が上がることは、こちらとしては万々歳なのでうれしいです。
彩雨: ただ、配信ライブに関しては、ビットレートのような音の情報量の問題もさることながら、先ほどもお話したようにエアーマイクを使ってライブの臨場感を出すなど、配信ライブを見ている人に実際にそこにいるかのような体験をしてもらうための工夫も重要だと考えています。
ZAIKO編集部: 有観客と配信ライブのハイブリッドライブのリハーサルを拝見させて頂いた時に、カメラマンさんと撮影カットについてお話されていたり、音響だけでなくてライティングなども念入りに確認していましたね。長いキャリアを持つバンドなのに、本当に開演時間の直前まで細かいところを調整していたのが印象的でした。
彩雨: こういう厳しい状況の中で、会場に来てくれる、配信で観てくれるファンを考えると、本当に妥協できないので自然とそうなってしまいますね。いつもサポートしてくれているライブハウスさんや配信スタッフさんに感謝しています。
苑: コロナ以前もライブに対して全力で向き合ってきましたが、昨年のコロナ以後は、一本のライブに対する姿勢やこだわり、ファンへの届けたい想いがより強くなったと感じています。
ZAIKO編集部: 最後に摩天楼オペラさんの今後の活動を教えてください。
苑: 8月25日に最新シングル「終わらぬ涙の海で」をリリースします。
彩雨: 9月からはそれを提げてのショートサーキットツアーをワンマンで行います。このショートサーキットツアーもリアルと配信のハイブリッドになるので楽しみにしておいてください!
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<プロフィール> 摩天楼オペラ ヴィジュアル系ロックバンド 2007年結成、2021年より新体制で活動中 Vo.苑 / Key.彩雨 / Ba.燿 / Dr.響https://www.matenrou-opera.net