電子チケット制の有料ライブ配信の動きが生まれている。
東京を拠点に活動するバンドceroは、3月13日に電子チケット制の有料ライブ配信「Contemporary http Cruise」を開催した。
チケット代金は1,000円で、購入者は1週間にわたってアーカイブを視聴可能。「応援投げ銭システム」も導入され、チケット購入時に投げ銭が可能となっている。この日はceroにとって全国ツアーの仙台公演の開催予定日だったが、こちらは振替公演となることが発表されている。
所属レーベル「カクバリズム」の代表・角張渉は、有料制のライブ配信を実施するに至った経緯について、公式ページにて以下のように綴っている。
「もちろん無料で配信したい気持ちも重々あるのですが、有料でのライブ配信を開催するに至ったのは、いつまでこの状況が続くかも見えない中で、この有料配信が少しでも形になれば、全国のミュージシャン、ライブハウス、さらには演劇関係者など皆さんの活動の基礎となる部分をフォローできる、ひとつ明るい材料になるのではないかなと考えたからです。これがほんと素直なところです。なので、他のレーベル、マネージメント、バンド、アーティストの方々はこのやり方に興味がありましたらご相談ください。何かお力になれたらと思います。」
メンバーの高城晶平もツイッターにて「新しい選択肢」として有料配信に踏み切ったことを発信した。
「今回のceroの配信は有料制を選択しています。無料配信がスタンダードな現状において、これは賛否が分かれる所だと思いますが、ショービジネスの受難がまだまだこれから先も続くことを考えると、全体のためにも新しい選択肢が必要だということで合意しました。」
電子チケット制の有料ライブ配信の試みは、こうした状況の中で、アーティストやファンが自粛することなく、かつ健全でサステナブルなものとして音楽活動を展開するための意義ある試みだと筆者は考える。今回はあくまで新型コロナウィルスによる延期や中止を受けての施策だが、ひょっとしたら、ライブエンタテインメントにとっての一つの大きな可能性になるかもしれない。